カジュアルな燻製
食材を燻して食うと美味い。皆さんご存知でしたか?
既に燻してあるはずのウインナーも、燻して食うと美味いんです。全然味が変わる。こんな事なら工場の段階でもうちょいしっかり燻しといてくれよと思うほど味が変わります。
聞くところによると、醤油も燻すと美味くなるらしいですよ。意味が分からない。液体も燻せるってどういうこと?燻製のポテンシャルヤバくない?
燻製は極論言うと、スーパーでダンボールをもらってきて、公園で桜の木を拾ってきて、百均で網を買ってくれば、道具費用が網の100円だけで即始められます。
とはいえ、桜の生木を燃やせる状態まで持っていくのには手間と技術が必要なので、ホームセンターやハンズなどのアウトドアコーナーで手に入るスモークウッド(木の数を固めたブロックのようなもの)を400円で購入しても、たったの500円から始められます。
初期費用が安すぎる。費用対効果が狂ってる。最強コスパのメシコンテンツ、それが燻製です。
実は私、趣味として定期的にカジュアルな燻製をやっているので、今日はその様子をお伝えしようと思います。
※生肉・生魚をフレンドリーに触りまくる文章です。慎重派の方は読むのやめといて下さい。
気合を入れるためにもTwitterにて燻製の意思を表明。
今日は燻製をやります!応援して下さい!
— ランドウ (@rando44) June 27, 2020
応援してと言ってみたら応援してくれる。皆さんお優しい。この人たちのためにも必ずやり遂げます。
今回は燻製器も自作します。
自作っつっても穴を空けるだけですが。
使用道具
・蓋付き一斗缶
・網
・ドリルビット
・ボルトとナット(ワッシャーはなくてもいい)
・スモークウッド
・金工用棒やすり
・釘
・金槌
・燻製用温度計
下に行くほど必要度が低い。正直スモークウッドまでで良いです。
でもあるに越したことはない。
今回作る物は
・ベーコン
・スモークサーモン
・ポークジャーキー
・燻製卵
です。
これらを燻製空間に並べて、まだスペースが空いてたら、ドンキで買ってきたやっすいウインナーを敷き詰めていくって算段。
まずは、ベーコン用の豚バラブロックをソミュール液に漬け込みます。
燻製をするにはソミュール液という塩と黒砂糖を溶かした液体の中に、ハーブと共に食材を漬け込まなくてはいけません。
ソミュール液自体は比率がガチガチに決まっているので遊びようがないのですが、ハーブはアドリブで大丈夫です。
母ちゃんが買ってきたハーブを拝借して雑にブチ込みましょう。
今回は、
・ローリエ(近所のローカルなスーパーで配布してた)
・ローズマリー(近所の家が育て過ぎたのを分けてもらった)
・シナモンスティック(ホットワイン用に買ったけど大して使ってない)
・ナツメグ(キッチンにあった、ハンバーグ用)
・カルダモン(ハーブクッキーを作るために買った)
をソミュール液の中に加えました。
ローリエやシナモンスティックを入れるとやっぱり味が違う。ちゃんと美味い。なんというか、市販のベーコンと比べて味に奥行きを感じます。深い味。
メシにあまり関心がないため、例える言葉の語彙が少なくて味の違いが伝わらず申し訳ない。とにかく美味くなります。
また、ソミュール液の比率や食材に応じたハーブの使用例が知りたい方は検索して下さい。インターネットの方が詳しいので。
何もかもをジップロックの中に入れたら、冷蔵庫の中で五日ほど保存します。
五日ほど経ったら塩抜きを行います。
インターネットには流水で一晩洗い流して塩を抜くとかなんとか書いてありますけど水道代がかかって嫌すぎる。
なので、塩を何度か水で洗い流したらボウルに水を張って漬けて冷蔵庫に入れる。その間に風呂でも入る。風呂から出たら水を変える。テレビを見る。寝る前になったら水を変える。寝る。起きたら水を変えて出社。帰宅。帰宅したら水を変えて飯食って風呂に入る。
ってな感じでやってます。面倒だけど流水に晒し続けるよりは良い。
そしてこのタイミングでベーコンを漬けていたジップロックが空くのでそこにポークジャーキー用の肉をぶち込みます。(変えろよ)
良いんだよ、カジュアルな燻製なんだから…。美味かったらこっちの勝ちだよ。
漬け過ぎてもよくないからこれは一晩で良い。
ポークジャーキーの漬けが終わったらこちらも洗います。
ここからが大変。拭きまくらないといけない。水気取りが十分でないと、酸っぱくなって食えたもんじゃないのでここは気合を入れましょう。単純作業なのでYouTubeでも観ながらやって下さい。
今回はこれを見ながらやりました。素早くUSドルを確認するシーンが好き。
石橋貴明といえばテレビが産んだテレビの男という印象が強いですが、彼がが繰り出すボケの数々はナンセンスなミームにまみれているので、意外にもインターネットと親和性が高い事が今回のYouTube進出で判明しました。何事もやってみないと分からんもんだなあ。
キッズのみぎりは、うたばんが大好きで毎週欠かさず視聴しておりました。大人になってから振り返ってみると、あれもインターネットだったように思えます。
脈絡なく挟み込まれる謎の怖い白猿のアイキャッチとか、化学くんとか、空気入れ蔵とか、巨大迷路に閉じ込められたいっくんがマッサージチェアの隙間から割り箸を見つけ出して一回鍵穴に差し込んでみる件とか、大野くんを守るためにスイカ転がして中居くんを撃退するタカさんとか、インターネットそのものでしょ。
インターネットオタクくんにも関わらず、野球全く分から人(んちゅ)なので、貴ちゃんねるずを見続けて野球分かり人(んちゅ)を目指そうと思います。
そして恐らくですが、彼のミームまみれの動画を摂取して完成した野球分かり人は、なんJ民に似た姿形をしていることでしょう。
さて、キッチンペーパーで食材を拭いていくのですが、キッチンペーパーを水気がバリバリ貫通するのでその下に新聞紙を敷く事をオススメします。給水率は大差ないのでどこの新聞でも大丈夫です。
肉の水気をガンガン取りまくります。もう乾いたっしょ。から4回ぐらい拭かないと十分じゃない。まあここをサボっても乾かしで挽回すればいいので乾かしに自信ある人は慢心しても大丈夫です。
最後はキッチンペーパーでくるんで冷蔵庫に戻して寝る。
サーモンは刺身用のものを購入しました。
面倒だったので、ハーブソルトをパラパラと振りかけて擦り込み、キッチンペーパーで包む程度の下拵えで済ませます。
さて、乾かします。本当は何日かかけたいけど、想定よりも暑くなっちゃったし、明日大雨だし今日やりたい。
なので、扇風機の力を借ります。
立派な乾かし装置はないので、母がハンカチを干している吊り具を借りました。
設置。意外とスペース食う。
なんだかポークジャーキー用の肉も乾かしたくなってきたな。豚バラブロックは邪魔なのでちょっと移動します。
ちょうどキッチンにタコ糸があったので吊るしてみます。
あのさあ…。
これはなんかちょっと…いや、なんか、もっとこう…。いい感じになると思ってだんだけど…。
……… pic.twitter.com/5kffvkJDLd
— ランドウ (@rando44) June 27, 2020
やだな…。
気を取り直して全体に設置。
肉の上に肉を置くな。
でも場所無いんだよ…乾いたら位置変えてくからいまは許して…。
食材を乾かしている間に燻製装置を製作します。
先日、人に連れられて遠方のパン屋に行って参りました。
そこは、パン好き女性が好むような、ドライフルーツや木の実が入った酸っぱくてかってえパンに力を入れている自然派のパン屋で、交通の便がよろしくないまあまあな山奥にも関わらず雑誌やキュレーションメディアでも多数取り上げられている人気店とのことでした。
ふと、惣菜パンの棚を見ると、燻製肉が使用されたパンが陳列されておりました。市販の燻製肉を使っていたら売値300〜400円では利益が出ないでしょうし、実態が気になったので店長に話を聞いてみると、一斗缶を加工した自作燻製器に土手で拾った桜の枝で燻製しているのでコストはあまりかからないとのことでした。
自分のこれまでの燻製では、使用後に即捨てられるのでダンボール箱を燻製器に使用していたのですが、安価かつ加工難度の低い素材で出来ている一斗缶ならば、自分好みにカスタム出来るし、気兼ねなく洗えるし、いつでも捨てられるから確かに燻製器の素材に優秀です。
先月の掃除の時にダンボール全部捨てちゃったし、去年近所のスーパーで(ローリエ配布してたとこ)もらって、神姫*1の家の屋根を作るために保管しておいた一斗缶があるので、折角なんでこれで作ります。
この季節だと枝は湿ってるだろうからこっちはやめておきます。
倉庫からちょっと出してきます。
これです。
紙ガムテの跡がかわいいね。このままにしようか剥がすかで悩む。
加工をやっていきます。材料はどこのご家庭にでもあるこちら。
集合体恐怖症なので、密集した物体の写真を置くと二度とこの記事が読めなくなってしまう。
これならまだ大丈夫です。
これも神姫の家を作るために購入したものの残りです。
もしくはこちら。
家にあるドリル刃が何ミリかちょっと自信なかったので急いで買い足しました。
いま確認したところ、自宅のドリル刃は5mmまででした。買わなくてよかった。
このドリル刃もうちの神姫の素体が各所傷んできたので義手義腕義足を作るために購入したものだったはず。
ちなみに現在うちの神姫は、AEUイナクトの脚を履いてパソコンの横で元気に暮らしています。
インパクトドライバーもドリル刃もない人は釘と金槌でもいけなくはないですが、自分は暑いししんどいので電動工具を使います。
必要なのは網を固定するボルトを差し込む穴、空気を取り込む穴、煙を排出する穴、温度計を差し込む穴。今後の吊るしのことも考えて吊るし穴も空けちゃおう。
こんな感じ。反対側も印つけてます。
蓋も
こんな感じ。一つは温度計を挿す穴。なので三つ。
こんなに煙抜け穴いるかな。吊るし穴から出ていくから一つでいいかもしれない。一つにしよう。
ケガいた場所に穴を空けていきます。
ドリルでウィンウィンやるまえにちょっと釘で凹まします。凹ますとドリル刃が滑らず穴を空けやすいので。
凹ませました。
叩く音が一斗缶の中で響いてめちゃめちゃうるさくて嫌になっちゃった。中に読み終わったジャンプを詰め込んでミュートすることで、ご近所トラブルの発生を未然に防ぎました。
自分は釘を金槌で打ちましたが、家に金槌がない方はデカいハサミの柄や、レンガ、石などの硬いものでどつきましょう。
釘やネジを持っていない人は道とかに落ちてるので拾って下さい。U字磁石に紐をつけて工事現場の近くや土手を歩くと何本か拾えます。
そういえば昼食を取っていなかったので取ります。
メシです pic.twitter.com/xlrVTo08Ef
— ランドウ (@rando44) June 27, 2020
ご飯少な!こんだけやそこらご飯残すことある!?タッパーにご飯残してあるとは聞いてたから焼き鳥丼にしようと思ってたけど残ってた量が少な過ぎた。
米と酒なしで焼き鳥食うのはなかなか辛くて半分残しちゃった。ラップかけて夜中のつまみに回します。
作業に戻ります。穴を空けていきます。
空けました。バリがあるのでバリを取ります。
まずは金槌で叩いて立ってるバリを寝かせる。良い感じになったら、丸型の金工やすりで怪我しない程度にザザッとやすります。
ボルト通し穴はボルトで隠れるのでそこそこで大丈夫です。
肝心なのは上下の空気穴。腕突っ込んだ時に怪我するんでここはちゃんとやる。バリを舐めてはいけない。
金属工作において「万物の霊長を名乗ろうが、人類も所詮は哺乳類である」「柔らかい哺乳類が硬い金属を加工している」ということをけして忘れてはいけません。慢心は事故に繋がります。
あの偉大なる電機王こと、明和電機社長 土佐信道氏も似たような事をおっしゃってました。
良い感じになったらボルトを通していきます。
通しました。
試しに網を設置してみたんですけどボルトが長過ぎて苦労したので、次回はもっと短いのに変えます。無計画が故のトラブルですが、カジュアルな燻製なのでOKです。網が入ればこっちの勝ちです。
網を設置して食材を置いていきます。
こんな感じ。
肉の上に肉を乗せるな。
そして、蓋をして放置。
温度計の針の振れに思いを馳せながら(見に行けよ)ランジャタイの配信アーカイブを見ます。
詳しい感想は別記事で書きかけているのでそちらで…。
カマちゃんとクロちゃんが絡んでたら、クロちゃんのタマキンがブリンッとまろび出て、観客の男子中学生がショックでギャン泣きした辺りで一時停止して燻製器の様子を見に行く。
煙の出が悪い。恐らく酸素不足。
仕方がないので一回全部出して、空気取り込み穴を増やす。
そして、キッチンのガスコンロでスモークウッドを再度ボーボーに燃やして庭までダッシュ。
廊下に煙が充満するけど、あらゆる部屋の窓を開けて、ファブリーズを撒いて、サーキュレーターをブン回せば無に返せるから大丈夫。
— ランドウ (@rando44) June 27, 2020
良い感じ。ここの工程を一発で成功させた試しがない。
再度放置。ランジャタイを見たりプリコネしたりして時間を潰します。
そろそろええんちゃうかってタイミング(ここは人それぞれ)で様子を見に行きます。
— ランドウ (@rando44) June 27, 2020
出来てる。完成〜!
食材全部出すとこんな感じ。
素敵な燻製じゃない。
応援して下さった皆さんありがとうございます。無事にやり遂げました。
とはいえ、すぐには食べられない。味を馴染ませるために一晩寝かせます。
寝かせると味が全然違う。マジで生き急ぎダメ、絶対。
保存の支度をします。保存はラップしてジップロックやスライダーバッグで密封。機械使うとかストローで吸うとか水に漬けて浸透圧でとかそういう手間は取りません。カジュアルな燻製なので吸います。競泳をやっていたので肺活量には自信があります。
そしてこれらを一つの袋にまとめて冷蔵庫のチルド室で保存します。
何故チルド室なのか?それは臭いからです。
過去に数回家族からクレームが来たのですが、焼いて食わせてやったら大人しくなりました。
騒音トラブルも、騒音の元を知ればクレームが減るのと同じ原理ですね。
一晩明けたのでさっそく食べてみようと思います。
メシです pic.twitter.com/u7uVDWnzfb
— ランドウ (@rando44) June 28, 2020
感想
燻製したシャウエッセン→😋🥳🥰👏👾
— ランドウ (@rando44) June 28, 2020
燻製したドンキの安いウインナー→😦🤔🤖👤🙃
どうせ燻製で味が塗り潰される訳だし、安物でええやろという軽率さが招いた悲劇。
これから燻製を行う方は、ウインナーを再度燻製するにせよまともなやつを買って下さいね。
ベーコンとサーモンは当然ながら美味しかったです。
また、アレンジ例です。
メシです 燻製ベーコンのガーリックパスタ pic.twitter.com/HNusUgYK2T
— ランドウ (@rando44) July 2, 2020
味が濃いからパスタにしても美味えんだ…。
ベーコンを炒めたところに茹でたパスタを入れて、オリーブオイル、醤油、有塩バター、摺り下ろしニンニク、黒胡椒でなんとかする感じの味付けです。
結構な量食材を燻製したので、しばらく夕飯と酒のつまみには困りませんね!やったぜ!
燻製は本当にコスパが良いし、ある程度雑にしても良いので、メシジャンル、工作ジャンルの中でも特にオススメの趣味です。
最後に、燻製やってみようかしらと興味を持った方に向けて、ダンボール箱を使用した燻製装置の作り方を書き記します。
2リットルのお茶が入ってる段ボール箱と焼き網とカッターを用意します。
ダンボール箱のより長い方の側面にカッターで切れ込みを入れます。
網をぶっ挿します。
ダンボール箱の短い方の側面の下部に切れ込みを入れ、空気を取り込むためと、スモークウッドが上手いこと火が着かなかった時(今回のように)スムーズに出し入れするための扉を作ります。
完成です。網は二枚でも良いし一枚でも良い。扉はどこにどんなサイズのものを作ったって良い。何もかもが自由。
あとは食材を入れて、アルミホイルで灰皿作って、スモークウッドに火を付けて、灰皿の上に置けば良いだけです。
手軽に始めてみたい方は漬けや脱水工程が必要ない6Pチーズやウインナーで始めてみると良いですよ。
おしまい。